HTML5が出てきてから、モバイル端末のアプリをネイティブで行くべきか、ウェブアプリで行くべきかの論争が起こった。デスクトップ用であれば、HTML5は有力な選択肢であり、実際なかなか使えるアプリも存在している。しかしながらモバイル端末用で考えると、今のところウェブアプリの分が悪い。なにしろここまで、Facebookを始めとして、HTML5で挑戦が試みられているが、いずれも失敗に終わっているからだ。端末にソフトウェアをインストールせずにアプリを使えるというのは、大きなメリットであるはずなのに、まだ機が熟していないのであろうか。
SD Timesの”Analyst Watch: Native vs. Web: The debate continues “では、モバイル端末用としてはHTML5では現状うまくいかない理由を上げている。
スマートフォンやタブレット、ウェアラブルまで、様々な端末が次々に出てきている。またその画面サイズも様々でどんどん変わっていっているのが実態。この状態ではHTML5の仕様がいつまでも完璧なものにならず、また、開発者、ツールの方もそのペースについていけるはずがない。
モバイル端末にはHTML5の仕様に対応したブラウザが実装されているのが条件になるわけだが、対応すべきプラットフォーム側はそれほど一生懸命に対応しようとしていない。アップルにしろグーグルにしろ、APPストアでインストール用のアプリを販売しているわけで、わざわざアプリを買わなくなるような仕組みに積極的に取り組もうとしないというわけだ。
端末仕様はコロコロ変わり、HTML5の仕様が広範にわたっており、またHTML5のみならず、 JavaScript、CSS、Canvas、WebGLなど、それぞれのコンポーネントごとにバラバラのツールしかなく、統合的なツールが存在していない。
ウェブ関連としては、HTML5のみならず、技術の進化が速く、また、Perl、Ruby、PHP、JavaScript、REST、ASP.NET、Silverlight、Flashなど、マスターすべき言語が多様に存在しているため、なかなか成熟レベルを上げられない。
ウェブアプリに簡単にアクセスできるようになれば、同時に悪意を持ったウェブアプリにも簡単にアクセスできてしまうということでもある。セキュリティ面で整備されていく必要がある。
SD Timesのこの記事よれば、当面、ネイティブアプリが主流で、ウェブアプリは軽いゲームや、企業向けソフトウェアのモバイル版、社内用アプリにとどまるのではないか、としている。