インフィニティソリューションズ株式会社ブログ

何故スパコンはクラウド内でしか生きられないのか

スーパーコンピュータと言えば、事業仕分けでも取り上げられた「京」が再び世界最高速に返り咲いたことが記憶に新しいところだ。

ふと見ると、こんな記事があった。

PC World

Why Supercomputers Will Only Live in the Cloud(何故スーパーコンピュータはクラウド内でしか生きられないのか)

by David Linthicum 2011年11月27日

The new public beta of Cluster Compute Eight Extra Large is Amazon.com’s most powerful cloud service yet. Its launch indicates that Amazon Web Services (AWS) intends to attract more organizations into high-performance computing. “AWS’s cloud for high-performance computing applications offers the same benefits as it does for other applications: It eliminates the cost and complexity of buying, configuring, and operating in-house compute clusters, according to Amazon,” notes the IDG News Service story. The applications include physics simulations, seismic analysis, drug design, genome analysis, aircraft design, and similar CPU-intensive analytics applications.

新しいCluster Compute Eight Extra Largeのパブリックベータ版はアマゾンのこれまでで最もパワフルなクラウドサービス。これを開始することにより、AWSは様々な組織をハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)にひきつけようと意図していることを示している。「ハイパフォーマンスコンピューティングに対するAWSのクラウドは、他のアプリケーションと同様の利点を提供する。すなわち、組織内コンピュートクラスタの購入、構成、運用に関わるコストや複雑性を排除することができる」とアマゾンはIDGニュースサービスの中で語っている。

Cluster Compute Eight Extra Large

This is a core advantage of cloud computing: the ability to access very expensive computing systems using a self-provisioned and time-shared model. Most organizations can’t afford supercomputers, so they choose a rental arrangement. This is not unlike how I had to consume supercomputing services back when I was in college. Certainly the college could not afford a Cray.

これはクラウドコンピューティングのコアはアドバンテージだ。すなわち、非常に高価かコンピューティングシステムに、セルフプロビジョニングとタイムシェアリング型のモデルでアクセスできること。ほとんど組織では、スーパーコンピュータを買うことができない。だからレンタルを選ぶ。私が学生だったころ、スーパーコンピューティングサービスを使っていたのとまさに同じだ。大学はCrayを買えなかったのだ。

— これは正確ではない。利用者側は、使った分だけ課金されていたかもしれないが、大学自体かどうかは別として、利用者を代表する組織が購入していたはず。しかもそのキャパは限られているため、好きなだけ使う、というわけではなく、様々な制約が課されていたのでは(大規模処理は夜間ジョブでしか実行できないとか)。

The question then arises: What happens these advanced computing services move away from the on-premise hardware and software model completely? What if they instead choose to provide multitenant access to supercomputing services and hide the high-end MIPS behind a cloud API?

ここで疑問が沸いてくる。これらの先進のコンピューティングサービスが組織内のハードウェア、ソフトウェアモデルを完全に追いやってしまうとどうなるのか。スーパーコンピューティングサービスへのアクセスをマルチテナント型アクセスを提供し、クラウドAPIの後ろにハイエンドCPUパワー(MIPS)を隠してしまうことを選択すればどうなのか。

— 原文では「high-end MIPS」となってますが、MIPSと言う言葉を久しぶりに聞いたような気がします。MIPSは、Million Instructions Per Second、1秒間に実行する命令数を百万単位にしたもの。かつては性能を表す尺度としてよく用いられました。ともかく多くの命令を処理すれば高い数字を示すことになりますが、現実には分岐などがあるため、命令数だけでは処理性能を測れないため、最近は使われなくなりました。

I believe that those who vend these computing systems and sell about 20 to 30 a year will find that the cloud becomes a new and more lucrative channel. Perhaps they will support thousands of users on the cloud, an audience that would typically not be able to afford the hardware and software.

これら(スーパーコンピューティング、大規模DB、大規模データ分析向けなど)のコンピューティングシステムを年に20台から30台販売する企業はクラウドが新しく、もっと儲かるチャネルであることに気付くと思う。おそらくはクラウド上で何千ものユーザ、ハードウェア、ソフトウェアを購入できない人々をサポートすることになるであろう。

— これもやや疑問。どういう企業を対象とした議論かによるが、AWSは、1つのパッケージ化された製品を導入することにより実現しているわけではない。複数のそれなりのものをうまく統合して、効率良く運用することによって実現しているのがAWS。そのコンポーネントを販売している会社が、いくら自前で作っているからといって、それをうまく統合できたり、うまく運用できたりはしない。サプライヤ以上にはなれないと思うが。

Moreover, I believe this might be the only model they support in the future, and the cloud could be the only way to access some platform services. That’s a pity for those who want to see the hardware in their own data center, but perhaps that’s not a bad thing.

さらに、これは将来サポートする唯一のモデルになり、クラウドはあるプラットフォームサービスにアクセスするための唯一の方法になると思う。自身のデータセンターでハードウェアを見たいと思う人にとっては残念な話だが、恐らくそれは大したことじゃないだろう。

— ベンダーがどうするにせよ、この部分は同意。いわゆるパラダイムシフトが起こっているわけで、ハードウェアベンダー、ソフトウェアベンダーがどう変移していくかは大きな課題でしょう。データセンターにハードウェアがなくなるのは、IT部門にとっては大した話で、IT部門も同様に変移していかざるを得ないということでしょう。